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Etheriumのレイヤー1とレイヤー2の違いと優位性を徹底解説
はじめに
今回は、Etheriumのレイヤー1とレイヤー2の違いと優位性(メリット)について、最新の情報をもとに徹底的に解説していきます。
Etheriumとは
Etheriumとは、スマートコントラクトや分散型アプリケーション(DApps)を実行できるブロックチェーンプラットフォームです。Etheriumは、ビットコインに比べて柔軟性や拡張性が高く、様々な用途に応用できることが特徴です。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で自動的に実行されるプログラムのことで、あらかじめ定められた条件に基づいて取引や契約を行うことができます。DAppsとは、スマートコントラクトを利用した分散型のアプリケーションのことで、金融やゲーム、ソーシャルメディアなど様々な分野で開発されています。
Etheriumのスケーラビリティ問題とは
しかし、Etheriumにも課題があります。その一つがスケーラビリティ問題です。スケーラビリティとは、システムが大きくなっても性能や効率が低下しないことを指します。Etheriumでは、ネットワークの混雑によってトランザクションの処理速度が遅くなったり、手数料が高騰したりすることがあります。これは、Etheriumのユーザーや開発者にとって大きな不満や障壁となっています。
スケーラビリティ問題の原因は、Etheriumのコンセンサスメカニズムにあります。コンセンサスメカニズムとは、ブロックチェーン上でトランザクションの正当性や順序を合意する仕組みのことです。Etheriumでは、現在Proof of Work(PoW)と呼ばれるコンセンサスメカニズムを採用しています。PoWでは、ノード(ブロックチェーンに参加するコンピュータ)が難解な計算問題を解くことでブロックを生成し、報酬を得る仕組みです。
PoWは、分散化やセキュリティを高めることができますが、その反面、処理速度や容量に限界があります。Etheriumでは、約15秒に1ブロックが生成され、1ブロックあたり約30トランザクションしか処理できません。これでは、ユーザーやアプリケーションが増えるにつれて追いつかなくなってしまいます。
レイヤー1とレイヤー2とは
そこで、Etheriumのスケーラビリティ問題を解決するために提案された技術がレイヤー1とレイヤー2です。レイヤー1とは、ブロックチェーンそのものを改良する技術で、レイヤー2とは、ブロックチェーンの外部でトランザクションを処理する技術です。それぞれにどのような特徴やメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
Etherium レイヤー1とは
レイヤー1の定義と役割
レイヤー1とは、ブロックチェーンそのものを指す言葉で、Etheriumでは分散化されたノードがP2Pでつながり、スマートコントラクトを実行する仕組みです。レイヤー1は、分散性やセキュリティを高めることができますが、その反面、処理速度や容量に限界があります。これをスケーラビリティ問題と呼びます。
筆者が注目しているレイヤー1プロジェクトにTenetという銘柄があります。よろしければ「仮想通貨TENETとは? | TENET 仮想通貨の将来性と評価、取引所での買い方を徹底解説」という記事も併せて読んでください。
レイヤー1の主な技術:シャーディング
レイヤー1でスケーラビリティ問題を解決するために提案された技術がシャーディングです。シャーディングとは、負荷を分散するためにデータベースを水平的に分割するプロセスを指します。Etheriumにおけるシャーディングとは、「シャード」と呼ばれる新たなチェーンを作成することで、ネットワークの混雑を解消し、毎秒あたりのトランザクション数を増加させる手法を指します。
これにより、ノードは、Etheriumネットワーク全体に含まれるすべてのトランザクションを処理する必要がなくなり、負荷が軽減されます。シャードは、それぞれ独自のスマートコントラクトやアカウントを持ち、他のシャードとも通信できます。シャーディングは、Etherium 2.0と呼ばれる大規模なアップデートの一部として実装される予定です。
レイヤー1のメリットと課題
レイヤー1のメリットは、ブロックチェーンの基盤となるレイヤーを改善することで、全体的な性能や効率が向上することです。また、レイヤー1は、スマートコントラクトやNFTなどの様々なアプリケーションを実行できます。
レイヤー1の課題は、ブロックチェーンそのものを変更することが難しいことです。ブロックチェーンは、分散化された多数の参加者によって構成されており、全員が同意しなければ変更できません。また、変更に伴うリスクやコストも高くなります。さらに、レイヤー1だけではスケーラビリティ問題を完全に解決できない可能性もあります。
Etherium レイヤー2とは
レイヤー2の定義と役割
レイヤー2とは、ブロックチェーンの外部(オフチェーン)でトランザクションを実行し、最終的な結果だけをブロックチェーンに記録する技術を指す言葉です。レイヤー2は、レイヤー1に負荷をかけずに、高速かつ低コストでの取引を可能にします。
筆者が注目しているレイヤー2関連プロジェクトは、Mantle(マントル)です。Mantleに興味がある人は、記事「仮想通貨Mantle(MNT)の特徴と将来性 | BitDAO(BIT)を統合したDeFiプロジェクトを解説」を読んでください。
レイヤー2の主な技術
レイヤー2には、さまざまな種類がありますが、主なものとしては以下のようなものがあります。
- ロールアップ:オフチェーンでトランザクションを集約してロールアップし、オンチェーンに一括して記録する技術です。不正なトランザクションは、ゼロ知識証明(zk-SNARKs)や不正証明(fraud proof)という暗号技術を使って検証します。スマートコントラクトも実装できます。
- ステートチャンネル:二者間または多者間でペイメントチャネルを開き、デポジットした通貨量の範囲内で何度でも送金やスマートコントラクトの実行ができる技術です。複数のチャネルを経由して送金することもできます。
- サイドチェーン:ブロックチェーンとは別に新たなチェーンを作り、Etheriumとは異なるコンセンサスメカニズムやルールを持たせる技術です。Etheriumとの間で資産の移動ができますが、セキュリティはサイドチェーン自身が担保します。
レイヤー2のメリットと課題
レイヤー2のメリットは、オフチェーンでトランザクションを処理することで、スケーラビリティを高めることができることです。また、レイヤー1と互換性のあるアプリケーションを実行できることです。
レイヤー2の課題は、オフチェーンでトランザクションを処理することで、セキュリティや分散化が低下する可能性があることです。また、レイヤー1とレイヤー2の間で資産の移動や同期を行う際に、遅延やコストが発生することです。
まとめ
Etheriumのレイヤー1とレイヤー2の違いとメリットについてまとめました。レイヤー1はブロックチェーンそのものを改良する技術で、分散性やセキュリティが高いですが、処理速度や容量に限界があります。レイヤー2はブロックチェーンの外部でトランザクションを処理する技術で、スケーラビリティが高いですが、セキュリティや分散化が低下する可能性があります。
L1はイーサリアムの基盤ブロックチェーンで、L2はイーサリアムを拡張するブロックチェーン
Etheriumは、レイヤー1とレイヤー2の両方を活用することで、スケーラビリティ問題を解決しようとしています。Etherium 2.0では、シャーディングと呼ばれるレイヤー1の技術が実装される予定です。また、ロールアップやステートチャンネルなどのレイヤー2の技術も開発や導入が進んでいます。
Etheriumは、ブロックチェーンの可能性を広げる革新的なプラットフォームです。しかし、その革新性ゆえに様々な課題も抱えています。それらの課題を克服し、より多くのユーザーやアプリケーションに利用されるようになるためには、レイヤー1とレイヤー2の技術の発展が不可欠です。今後もEtheriumのスケーラビリティに関する最新の情報に注目していきましょう。