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LSDFiとは? | ステーキングとDeFiの相乗効果を生み出す新しいコンセプトを徹底解説

LSDFiとは、イーサリアムブロックチェーン上で構築された新しい金融プラットフォームです。
LSDFiを利用することで、ユーザーはイーサリアムトークンを預け入れ、利息を得ることができます。

エルエスディーファイって、ややこしい造語のようね



業界で脚光を浴びてる新規格です
エルエスディーファイの概要を初心者向けに分かりやすく解説することを心掛けた記事です。
LSDFiとは?
LSDFiを理解するためには、リキッドステーキングの定義やディファイの定義を正しく理解する必要があります。それぞれの意味やプロトコル(規格)を解説します。理解しながら読もうとせずに、先ずはこの章をざっくり読んでから、繰り返し読むと、より解りやすいと思います。
LSDFiの概要
LSDFiとは、Liquid Staking Derivatives in DeFiの略で、リキッドステーキングデリバティブ(LSD)を利用したDeFiプロトコルのことです。DeFiとは、分散型金融のことで、ブロックチェーンやスマートコントラクトを使って、銀行や証券会社などの仲介者を必要としない金融サービスを提供することです。
- LSDFiのプロトコル
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- 資産を貸し借りしたり、利子を得たりすることができる借貸プロトコル
- 資産を交換したり、流動性を提供して手数料を得たりすることができる分散型取引所(DEX)
- 資産の価値や収益率に関するオプションや先物などの契約を取引することができるデリバティブプロトコル
LSDFiは、LSDの価値や収益性を高めるために、さまざまなDeFiサービスを提供しています。LSDは、ステーキングした資産に対応するデリバティブトークンで、ステーキング報酬を受け取りながら、流動性を確保し、DeFiで運用できるメカニズムです。
- LSDFiのメカニズム
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- ETHをステーキングすると、Lido Staked ETH(stETH)というLSDが発行される。
- stETHはETHと同じ価値や報酬を持ちながら、取引所やプロトコルで自由に売買や貸借ができる。
- stETHを持っているだけで、ステーキング報酬が自動的に増えていく。
- stETHとは、Lido Staked ETHの略で、ETHをステーキングしたときに発行されるデリバティブトークンです。デリバティブトークンとは、元の資産に対応するトークンで、元の資産と同じ価値や報酬を持ちながら、流動性を確保し、DeFiで運用できるトークンです。
LSDFiは、LSDの持つ特徴を活かして、以下のようなサービスを提供しています。
- LSDFi関連サービス
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- LSDを担保に安定コインを借りることができるLybra FinanceやAlchemixなどの借貸プロトコル
- LSDの収益率に関するオプションや先物などの契約を取引することができるPendleやAsymetrixなどのデリバティブプロトコル
- LSDのインデックスファンドに投資することができるGravita ProtocolやOrigin DeFiなどのインデックスプロトコル
LSDFiは、LSDの流動性や収益性をさらに高めることができる革新的なプロトコルです。LSDFiに興味がある方は、上記のプロトコルを調べたり触れたりすると理解が進むと思います。


Liquid Stakingとは?
Liquid Staking(リキッドステーキング)とは、暗号資産(仮想通貨)のステーキングをより便利にする仕組みです。ステーキングとは、ブロックチェーンのセキュリティやコンセンサスを担うノードに自分の資産を預けて、報酬を得ることです。しかし、ステーキングにはいくつかの問題があります。
- ステーキングの問題点
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- ステーキングした資産はロックされてしまい、流動性が失われる。
- ステーキングには最低限の資産量や期間が必要で、参加しにくい。
- ステーキングの報酬率は変動するため、収益性が不安定である。
Liquid Staking(リキッドステーキング)は、これらの問題を解決するために、ステーキングした資産に対応するデリバティブトークン(LSD)を発行することで、流動性を確保し、DeFiで運用できるようにします。LSDは、ステーキングした資産と同じ価値や報酬を持ちながら、取引所やプロトコルで自由に売買や貸借ができるトークンです。
- リキッドステーキングによる改善策
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- ETHをステーキングすると、Lido Staked ETH(stETH)というLSDが発行される。
- stETHはETHと同じ価値や報酬を持ちながら、流動性プールや借貸プロトコルなどで利用できる。
- stETHを持っているだけで、ステーキング報酬が自動的に増えていく。
Liquid Stakingは、ステーキングのメリットを損なわずに、流動性や収益性を高めることができる画期的な仕組みです。Liquid Stakingに興味がある方は、LidoやAnkrなどのプロトコルを利用してみてください。
DeFiとは?
DeFiとは、分散型金融の略で、ブロックチェーン上で様々な金融サービスを提供することです。
DeFiでは、中央機関や仲介者が不要であり、誰でも参加できます。
DeFiでは、以下のような金融サービスが提供されています。
- 貸借
- 交換
- 保険
- 予測市場
- 資産管理
DeFiでは、流動性プロバイダーと呼ばれる参加者が、自分の資産をプールに供給することで、利用者にサービスを提供します。
流動性プロバイダーは、サービスの利用料やプロトコルのトークンなどの形で収益を得ることができます。
LSDFiの特徴


LSDFiの特徴は既に前項で書いてしまったのですが、読んでもなお理解できない読者のために、表現を少し変えてより初心者向けの表現で説明します。
LSDFiの特徴とは、リキッドステーキングデリバティブ(LSD)を利用したDeFiプロトコルの特徴です。DeFiとは、分散型金融のことで、ブロックチェーンやスマートコントラクトを使って、銀行や証券会社などの仲介者を必要としない金融サービスを提供することです。LSDとは、ステーキングした資産に対応するデリバティブトークンで、ステーキング報酬を受け取りながら、流動性を確保し、DeFiで運用できるメカニズムです。
LSDFiの特徴は、LSDの持つ特徴を活かして、さまざまなDeFiサービスを提供していることです。具体的には、以下のようなことができます。
- LSDを担保に安定コインを借りることができます。これは、ステーキングした資産を売らずに、現金化することができるメリットがあります。例えば、Lybra FinanceやAlchemixなどのプロトコルでは、stETHを担保にeUSDという安定コインを借りることができます。
- LSDの収益率に関するオプションや先物などの契約を取引することができます。これは、ステーキング報酬の変動に対して、投機やヘッジすることができるメリットがあります。例えば、PendleやAsymetrixなどのプロトコルでは、stETHの収益率に関するオプションや先物などの契約を取引することができます。
- LSDのインデックスファンドに投資することができます。これは、複数のLSDを組み合わせて、分散投資することができるメリットがあります。例えば、Gravita ProtocolやOrigin DeFiなどのプロトコルでは、LSDのインデックスファンドに投資することができます。
LSDFiが脚光を浴びてる理由が理解できたのではないでしょうか。「ビットコイン以外のアルトコインは無価値になる」という声も少しずつ増えているようですが、そういった意見の多くは投資商品としての短絡的意見であり、ブロックチェーン技術の進化においては、今後も素晴らしいテクノロジーがたくさん台頭してくることでしょう。
LSDFiのメリット


LSDFiのメリットは、以下のようにまとめられます。
ステーキング資産の流動性向上
LSDFiでは、ステーキングした資産に流動性を与えることができます。これにより、ステーキングした資産を自由に売買や移転ができるようになります。
また、ステーキングした資産を他の金融サービスに活用することもできます。例えば、Liquid Stakingトークンを担保にして、貸借サービスで借り入れを行うことができます。
これにより、ステーキングした資産の有効活用やレバレッジの取得が可能になります。
ステーキング報酬とDeFi収益の併用
LSDFiでは、ステーキング報酬とDeFi収益の両方を得ることができます。
Liquid Stakingトークンは、ステーキングした資産と同じ報酬を受け取ることができます。また、Liquid StakingトークンをDeFiプロトコルに供給することで、流動性プロバイダーとしての収益も得ることができます。
例えば、Liquid Stakingトークンを交換サービスのプールに供給することで、取引手数料やプロトコルトークンなどの形で収益を得ることができます。
これにより、ステーキングした資産の収益性を高めることができます。
ステーキング参加者の増加とネットワークセキュリティの強化
LSDFiでは、ステーキング参加者の増加とネットワークセキュリティの強化が期待されます。
Liquid Stakingトークンは、ステーキングへの参加障壁を下げることができます。
Liquid Stakingトークンは、最低ステーキング額やロックアップ期間などの制約がなく、自由に取引や移転ができます。
これにより、ステーキングへの参加意欲や参加容易性が高まります。ステーキング参加者が増えることで、ネットワークの分散度やセキュリティが向上します。
DeFiプロトコルの流動性プールの拡大と利用者の増加
LSDFiでは、DeFiプロトコルの流動性プールの拡大と利用者の増加が期待されます。
Liquid Stakingトークンは、DeFiプロトコルに新たな流動性源を提供することができます。Liquid Stakingトークンは、ステーキングした資産と同等の価値を持つため、安定した流動性を提供することができます。
Liquid Stakingトークンは魅力的な資産
Liquid Stakingトークンは、DeFiプロトコルの利用者にとっても魅力的な資産となります。
例えば、Liquid Stakingトークンを交換サービスで取引することで、ステーキングした資産の価格変動リスクをヘッジすることができます。
また、Liquid Stakingトークンは、ステーキング報酬も受け取ることができるため、利用者のインセンティブにもなります。これにより、DeFiプロトコルの流動性プールが拡大し、利用者が増加します。
以上が、LSDFiのメリットについての詳しい解説です。
LSDFiは、ステーキングとDeFiの相乗効果を生み出すことができる革新的なコンセプトです。
LSDFiに関心がある方は、ぜひ試してみてください。
LSDFiの課題
LSDFiは、ステーキングとDeFiの統合を目指すコンセプトですが、その実現には技術的な課題があります。
例えば、ステーキングとDeFiのプロトコルは、異なるブロックチェーンやコンセンサスアルゴリズムを採用している場合が多く、その互換性やセキュリティを確保することが困難です。
また、ステーキングとDeFiの間には、インセンティブの不一致が生じる可能性があります。
例えば、ステーキングは長期的な投資戦略であるのに対し、DeFiは短期的な取引戦略である場合が多く、そのバランスをとることが難しいです。
さらに、ステーキングとDeFiの両方に参加することで、二重のリスクにさらされることになります。
例えば、ステーキングではバリデーターの不正行為やネットワークの障害などによってペナルティを受けたり、資産を失ったりするリスクがあります。
また、DeFiではスマートコントラクトのバグやハッキングなどによって資産を失ったり、流動性が低下したりするリスクがあります。
LSDFiは、まだ発展途上のコンセプトであり、その実現にはさまざまな課題があります。
LSDFiに関心がある方は、そのリスクやメリットを十分に理解した上で参加することをお勧めします。
- 出典:What Is LSDFi? Overview of LSDFi Protocols and How To Use Them
- 出典:リキッドステーキング向けDeFi「LSDfi」の市場規模、前月比2倍に急拡大
LSDFiの将来性や展望
LSDFiの将来性
LSDFiは、分散型金融(DeFi)の新しいトレンドとして注目されています。LSDFiは、流動性ステーキングデリバティブ(LSD)を利用したプロトコルの総称で、DeFiの様々な分野をカバーしています。LSDFiは、流動性とデリバティブを組み合わせることで、資本効率や柔軟性を高め、収益性を最適化することができます。
LSDFiの展望
LSDFiの展望としては、以下のような点が期待されます。
- LSDの規格や互換性の統一化や標準化が進むことで、LSDFiの利便性や相互運用性が向上すること
- LSDの流動性や価格安定性を高めるための仕組みやインセンティブが開発されること
- LSDFiのプロトコルが多様化や複雑化し、より高度な金融サービスや機能を提供すること
- LSDFiのプロトコルが他のブロックチェーンネットワークやアプリケーションと連携し、クロスチェーン技術を活用すること
このようにして、LSDFiは分散型金融の革新的な分野として発展していく可能性があります。
LSDFiの注目プロジェクト
LSDFiの課題を克服しているプロジェクトやサービスについて、いくつか紹介します。
Lybra Finance
Lybra Financeは、ETHやstETHを担保にして、安定コインeUSDを借りることができるプロトコルです。eUSDは利息や手数料が発生しません。
LSDFiの中でも、Lybra Finance(LBR)の人気は先行しています。Lybra Financeは、保有者に自動的に利息が付与される安定コインeUSDを提供するプロトコルです。eUSDは、年利7.2%のAPYを実現しており、リアルタイムで利息が発生します。Lybra Financeは、過去2週間でTVLが10倍以上に増加し、LBRトークンも2000%以上の価格上昇を記録しました。
Gravita Protocol
Gravitaプロトコルは、stETHやrETHなどのLSDトークンを担保にして、安定コインgUSDを借りることができるプロトコルです。gUSDはLSDトークンの価格変動に追従します。
Curve Finance
カーブファイナンスは、LSDトークン同士の交換を効率的に行うことができるDEXです。LSDトークンのプールに流動性を提供すると、CrvUSDというインデックストークンを受け取ります。
Origin DeFi
Origin DeFiは、stETHやrETHなどのLSDトークンに対して、オプションや先物などの金融派生商品を提供するプロトコルです。LSDトークンの収益率や価格変動に対して、投機やヘッジを行うことができます。
Pendle


PENDLEは、stETHやrETHなどのLSDトークンから未来の収益率を切り離して、独立したトークン(yvToken)として取引することができるプロトコルです。yvTokenは時間価値に基づいて価格が変動します。



Pendleは、つい最近(2023年7月)バイナンスにも上場して注目を浴びたね
TENET Protocol
Tenet Protocolは、EVM(Ethereum Virtual Machine)と互換性のあるレイヤー1のDeFiブロックチェーンで、Cosmos SDKを使用しています。
LiquidStakeやStaFi Protocolと比較して、TENET Protocolの優位性は以下のようになります。
TENET Protocolは、クロスチェーンのステーキングとDeFiの統合を目指しています。
TENET Protocolは、EthereumやBinance Smart Chainなどの様々なブロックチェーンに対応しており、そのステーキング資産に対して、TENETという流動性トークンを発行することで、流動性を提供します。
また、TENET Protocolは、TENETを担保にして、DeFiのプロトコルであるCompoundやMakerDAOなどにアクセスできるようにします。
TENET Protocolは、高速かつ安全なステーキングとDeFiの統合を目指しています。
TENET Protocolは、Cosmos SDKを使用しており、そのコンセンサスメカニズムはTendermint BFTです。
Tendermint BFTは、ブロック生成時間が約5秒と高速であり、フォールトトレランスが高いことが特徴です。
また、TENET Protocolは、EVMと互換性があるため、Ethereumのスマートコントラクトをそのまま利用できます。
以上が、TENET Protocolの優位性の一部です。
TENET Protocolは、まだ開発段階であり、その実現にはさまざまな課題があります。
TENET Protocolに関心がある方は、以下の記事で詳しく解説しています。
- 参考文献 LSDfi: When Liquid Staking Meets DeFi
- 参考文献 What Is LSDFi? Overview of LSDFi Protocols and How To Use Them
Mantle


Mantleは、2023年7月10日現在、LSDFiにはカテゴライズされませんが、近い将来に対応予定があり、今はその準備段階にあります。以下の記事の「MantleはLSDFiか?」という章も併せて読むことをお奨めします。

